十三機兵防衛圏 レビュー

ゲームレビュー

PS4の十三機兵防衛圏を難易度NORMALでクリアしました。クリア時間は25時間ぐらいでトロフィーも難しいものはなく1周ゲームクリアするだけでほとんど取れます。

13人の主人公が描く難解なSF作品

ゲームの流れは追想編、崩壊編、究明編の3つのパートを自由に切り替えながら進行していきます。メインのゲーム部分は、アドベンチャーの追想編とバトルの崩壊編で、アーカイブである究明編は理解の補助や確認に使用しました。
最初はグラフィックや音楽も素晴らしく、昭和のノスタルジックな雰囲気が上手く表現されており、画面から受ける印象は良く、少年少女がロボットに乗って怪獣と戦う崩壊編はSFテイストで近未来的な世界観で、ゲーム性も世界観も違う2つのパートを切り替わっても違和感を感じさせず面白いと思いました。
しかし主人公が13人と多いうえ、キャラの見た目と名前を頭に入れるのも一苦労し、プレイすればするほど大量のSF用語と謎が登場するストーリーが展開されていくことから、思ったより難解な作品だとい印象です。プレイしていくうちに断片的だったものが繋がっていく構成は面白いと思ったものの、中盤あたりから物語を把握するのが困難でした。究明編のアーカイブで確認したり、細部を覚えているうちに短期間で一気にプレイしていく方がいいゲームかもしれません。

追想編

13人の主人公を操作する追想編は、物語を進めて行く中で手に入るキーワードを使用するクラウドシンクが特徴的で、クラウドシンクは会話の中で使用すると、回想シーンに飛んだり、同じ場面でも別の展開に分岐して行ったり、サウンドノベルの選択肢に近いものです。
フローチャート付きでルートが分岐しているのはサウンドノベルの造りに近いですが、物語は登場人物が多く、時系列も頻繫に変わり、SF作品によく出てくるような設定が山盛りで、これが意図的にデザインされたのかは分かりませんが難解な印象でした。
難解だと感じる原因に、ただでさえ多い登場人物にも同一人物が複数登場し、姿形は同じでも名前が違ったり、実は別の人格だったりと混乱を招きます。また1人の主人公を一気に進めることもできず、崩壊編や別主人公を進めるなどしているうちに、誰が何をしていたのかストーリー展開もあやふやになってきました。
各主人公は一回のプレイが10分ほどで終わるように細かく区切られていますが、早く先が見たいと思うほどの引きの強さを感じず、次々に追加されていく設定と似たような場面が別主人公でも続き、あまり物語にのめり込めませんでした。どっちかというと展開は緩やかなので張られた伏線や深まる謎を考察しながらじっくり進めて行くのが好きな人向けです。

崩壊編

機兵を操作して怪獣と戦うシュミレーションバトルは3つのパートの中でも一番好きでした。ターミナルを防衛しつつ、迫りくる怪獣達を撃退するタワーディフェンス系ですが、序盤は難易度NORMALでも敵が出現したら適当に機兵を突っ込ませても何とかクリアできるぐらいの難易度でした。
見た目は地味ですが、機兵の性能やパイロットにも個性があり、武器の強化や付け替えといったカスタマイズも可能で、範囲攻撃で大量の敵を撃墜したり、高火力の近接攻撃をボスに叩き込んだときは爽快感もあり、シンプルな造りですがやってみると意外と楽しめます。そこまで奥の深いものではなく、クリアまでの30ステージで飽きが回ってきたため、クリア後に追加されるステージまではやり込む気にはなれませんでしたが、難易度もボリュームも丁度いい感じです。
クリアまでに必ずプレイすることになりますが、あまり難しすぎたり、時間がかかる仕様ではないため、追想編の続きを早くプレイしたい人にとってストレスにならないように調整されていると思いました。

究明編

追想編でプレイしたイベントが記録されていくアーカイブと、崩壊編をプレイして手に入れたポイントを使用してアンロックしていく用語集のようなミステリーファイルがあります。
アーカイブは主人公ごとに何が起こったのか再確認できますし、ミステリーファイルも物語が進むごとに更新されて登場人物の正体や目的などが書かれているので、この究明編はゲーム性はありませんがストーリーの理解していくためにもかなり役に立ったパートでした。
全て読んでいく気力は湧いてこないほどの膨大な量でしたが、興味持った用語や忘れかけた所を読むだけでも物語が分かりやすくなります。この究明編がないと理解するのが難しいと感じるほどで、ミステリーファイルなどは丁寧に書かれているので、ゲームの設定資料集みたいなのが好きな人は読んでいるだけでも楽しめるかもしれません。

評価

6 / 1 0

13人もの主人公が登場し、これだけストーリーが複雑な構成のゲームはなかなか見たことがありません。人を選ぶタイプのゲームで好みに合いませんでしたが、プレイしてみると評価が高いのも納得の出来でした。シュミレーションゲームの崩壊編よりアドベンチャーの追想編の方が頭を使い疲れるゲームですが、少しでも興味を持ったらやってみる価値のあるゲームです。