ウィッチャー3 ワイルドハント レビュー

ゲームレビュー

ウィッチャー3を40時間以上プレイしてクリアしました。難易度はNORMLに当たるストーリー & バトルです。操作性と戦闘が気に入らず、何度かプレイしてもいつも序盤で辞めてしまったゲームですが、最後までプレイしてみるとやって良かったと思えるゲームでした。

ファンタジーな世界観のオープンワールドARPG

ウィッチャー3はオープンワールドのARPGです。原作は小説なせいかストーリーの造りこみが他のオープンワールドゲームで見たことがないくらい凄まじく、長編小説をゲームにしたような印象を受けます。
オープンワールドRPGらしく自由度の高い作品ですが主人公をキャラメイクしたりするような要素はなく、魔物ハンターのゲラルトの物語を追っていきます。
シリーズ作品でもあるウィッチャーは知名度の上がった3で初めて触れることになる人も多いと思いますが、過去作をプレイしてなくてもストーリーはある程度は理解できます。登場人物が多く、最初は話についていけなくなりますがメニューの大百科から人物の背景やゲラルトとの関係が詳細に書かれて更新もされていくため、ゲームプレイと並行して大百科を読み進めながらウィッチャーの世界観に入り込んでいくのがこのゲームの楽しみ方でもあります。
造りこまれた世界観に驚きましたが、ゲームプレイは発売当時からそこまで目新しさはありませんでした。UIも使いにくく、戦闘はシンプルで飽きが回りやすいです。操作性も重く滑るような感覚があり、フィールドの広さに対し移動速度も遅めでストレスになります。ボタン配置も決定ボタンとキャンセルボタンは変更できますが、細かくキーコンフィグはできず、なかなか慣れませんでした。

遊び尽くせないほどの広大なマップ

移動できるエリアは広いだけでなく、密度も濃いです。街中には建物も多く、ほとんどの部屋にも入れて探索することができました。また掲示板に張られている張り紙や手に入る書物からもとんでもないほどの情報量が得られ、どれも丁寧に翻訳されて読みやすく書かれています。
全て探索していくのは膨大な時間がかかるため断念しましたが、マップ上で?マークが表示されている場所に向かうだけで、新しいクエストが発生したり、モンスターの巣やアイテムの発見、入ったことのないダンジョンを見かけたり、次々にやれる事が増えていきました。
広い世界を回っているだけで楽しめるようになっていますが、操作性の悪さとロードの長さがやや足を引っ張ります。移動も不便で標識のある場所からしかファストトラベルできず、これならイベントや戦闘の最中でなければどこからでもファストトラベルできる仕様の方がいいと思いました。また主人公のゲラルトは意外と脆く、これぐらいの高さなら飛び降りても大丈夫だろうという場所でもあっさり落下死し、復帰にかかるロード時間がかなり長いのも辛い所でした。

分岐・連動していくクエスト

クエストにはメインだけでなく、様々なクエストが用意されており、数も種類も豊富です。モンスターを討伐したり、人物調査、宝探し、カードゲームやレースもあり、どれも作業感を感じないように工夫されていました。
クエストの基本的な流れはゲラルトのウィッチャーの感覚という能力を使い、足跡や匂いなどを追い手がかりを見つけ解決に導いていきます。このクエストのストーリーが他のゲームでは見たことないほど造りこまれており、事件が起こった背景から登場人物の関係性や目的まで詳細に描かれていました。
クエスト中にゲラルトは様々な選択肢を迫られることになりますが、選んだ選択肢によって結末が大きく変わります。驚いたのはクエストで取った行動が他のクエストにも連動していることです。登場人物もゲラルトに対して友好的で協力してくれるか、敵対して戦うことになるかはプレイヤー次第で、場合によっては国家に影響を与えるほど物語が変化します。
ここまで物語が細かく分岐していくのはサウンドノベルやアドベンチャーではよくありますが、RPGでは見たことがありませんでした。中には思いもよらない悲劇的な結末を迎えたのもあり、全てのクエストをプレイしたわけではありませんが印象に残るものが多かったです。

単調な戦闘システム

戦闘は、ゲラルトの剣と魔法を使う戦闘スタイルとモンスターのデザインなども好みでしたが、動かしてみると単調でそれほど面白いものではありませんでした。
ゲラルトは2本の剣を持っていますが、モンスター用と対人用に使い分けるだけでこの戦闘システムなら別に1本だけでもいいと思いました。他にも武器には強化や製作といった要素があり、剣にオイルを塗ったり、霊薬を飲むことで戦闘を優位に進めることができます。強敵と戦うにはこういった戦闘アイテムを準備をするのも本来は楽しいはずですが、製作に必要な素材集めがこの広大な世界で無数のアイテムがあるゲームではどこに何があるのか分かりにくく、そもそもアイテムを管理するメニューが使いにくく重いのが気になるところでした。
魔法に関してはMP制ではなく、自動回復するゲージが溜まったら放てる仕様で分かりやすく使い勝手も良かったです。しかし武器には耐久度があり、この耐久度の減りが割と早く、定期的にわざわざ鍛冶屋に修理や回復アイテムを使用しなければならず、それなりに面倒臭さは感じます。

評価

6 / 10

やや古くなったゲームらしい戦闘面とUIには不満が残りましたが、RPGには戦闘よりも物語を重視する人に合いそうです。100時間以上は余裕で遊べるボリュームで、とてつもなく作りこまれた世界を持ったこの作品には面白いというより凄いと感じるほどでした。
選択肢によってゲームの展開が変わるため周回プレイでも楽しめ、また大型のDLCも用意されているので、このゲームにハマると長い付き合いになりそうです。