岩倉アリア レビュー

ゲームレビュー

クリア時間は10時間前後でした。辿り着くエンディングによってクリアまでにかかる時間は変わってくると思います。

美しく残酷なアドベンチャー

岩倉アリアは昔からよくあるサウンドノベルに近い作品です。テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくことでゲームは進行していきます。登場人物が少なく、文章も読みやすいことからストーリーはかなり分かりやすいほうでした。
謎解きなどはなく、あまりゲーム性もないのでほとんど読み物といった印象でした。
ストーリーは岩倉家の女中となる北川壱子の視点から進行していき、平穏な日常が岩倉家の秘密を知るたびに崩れていき、じわじわと不穏な空気が漂いはじめます。タイトルにもなっている岩倉アリアという登場人物が非常にミステリアスなので先が気になります。
猟奇的なシーンもあり、万人受けするような作品ではありませんが、絵や音楽が気にいったらプレイしてみるのもいいと思います。

屋敷の探索パート

ストーリーの合間には自由に屋敷内を移動し、探索できます。屋敷内を見て回ると後に繋がる伏線などを発見することもあります。ただこの屋敷探索パートはあってもなくてもどっちでもいい要素だと思いました。
探索パートの頻度はやや多く、面倒になることがありました。初回プレイだとどうしても全ての部屋を一通り見て回りたくなりますが、あまり面白さはなくは物語のテンポを悪くしていると思いました。

マルチエンド式のゲームシステム

この作品は複数あるエンディングがどれも素晴らしいものがありました。時系列が飛び、主人公のその後の人生まで描かれており、バッドエンドになってしまっても、その終わり方も悪くないと思えるもので、他の結末も見てみたくなります。
ただクリア後に始めたエンディング集めには手間がかかりました。オートでセーブされたポイントから展開が分岐する選択肢を探すことになりますが、どこで分岐したのか分かりにくかったです。こういったゲームには綺麗に整理されたフローチャートなどが欲しかった所です。

評価

6 / 10

あまり強い印象は残らず凡作だと思いました。
特に物語の中盤あたりは中だるみがありました。登場人物が少なく、同じ絵が続くからかもしれません。無駄だと感じるシーンが多く、ストーリー展開が遅く感じました。
しかし、エンディングは良かったです。終盤は緊張感が高まり、綺麗に完結していくのでプレイ後感は悪くありません。