タクティクスオウガ リボーン レビュー

ゲームレビュー

寄り道しながらじっくりプレイし初回のクリア時間は52時間です。トロコンには135時間ほどかかりました。

現代にも通用するSRPGの名作

原作はSFCで発売され、2010年にPSPでリメイクされているので今作で2回目のリメイク作品となります。これまで複数の機種に移植されていることもあり、何度もクリアしたことあるゲームでしたが、今作も寝る間を惜しんでプレイしてしまうほど中毒性があります。
最初は細かい変更点は多数あるもののグラフィックが当時の雰囲気そのままで、あまり変わり映えしていないことからリメイクというよりPSPの運命の輪バージョンのリマスター版のような印象を受ける作品でした。
大きく変わったのはほぼ戦闘関連とUIで、現代のゲームらしく遊びやすく調整されており、あまり古臭さは感じず、最新のゲームと同じように楽しめました。

分岐していくシナリオに魅力あり

タクティクスオウガの特徴としてはシナリオが優れている点が挙げられます。島国を舞台にした民族紛争をテーマにしており、設定がしっかりしているうえに個性的な登場人物も多いです。台詞がどれも印象に残るため、この作品をフルボイス化したのは正解だと思いました。また物語の要所で重大な選択をプレイヤーに迫られることになり、初めて原作をプレイしたときはゲームの主人公とは思えないような選択も用意されていることに驚かされました。
選んだ選択肢によって3つのルートに分岐していき、シナリオに少し変化が生まれ、登場人物の運命も違った結末を迎えることがあるため、周回プレイもあまり苦になりません。
ルートによって加入する仲間が異なり、フラグや選択肢も多く、初見プレイでは全て取りこぼしなくプレイすることは難しめですが、クリア後はW.O.R.L.D機能で時間軸を移動して後から回収できる親切設計なのであまり細かいことは気にせずプレイできるのもよく出来ています。

難易度高めのカード取りバトル

戦闘に関しては負傷者続出で難易度は高めだと思いました。このゲームは結果が気にいらなかったらターンを巻き戻せるC.H.A.R.I.O.T.という救済機能がありますが、C.H.A.R.I.O.T.を使用しても難しいです。
難しく感じる原因は、全体のレベルを表すユニオンレベルが制限されているためで、ストーリーを進行しないとユニオンレベルは開放されていきません。ストーリーの難所でもレベルを上げて強引に突破することができず、やり応えを感じるようになっています。
新要素であるステージ中に登場するバフカードの存在やオートスキルの発動の効果は大きく、同じステージをやり直したりすると全然違った結果になることもありました。このバフカードはステージ中に大量に発生し、取得するとダメージ量が変わってきますし、敵に取られると不利になるという分かりやすいものです。最初は新鮮味もあって面白いと思いましたが、どうしてもバフカードを取りに行く立ち回りになりますし、戦況が運にも左右されると感じることも多かったです。
気になったのはユニットの向きを変えられる方向の概念があるのに、命中率はほぼ100%で敵の側面や背後を取る意味も薄く、あまりSRPGとしては命中と回避が機能していなかったのがもったいないと思いました。

膨大なエンドコンテンツ

メインストーリーのクリアだけでもボリュームは満足できるものでしたが、クリア後のエンドコンテンツの量も凄いです。多数のダンジョンや追加エピソードだけで100時間以上は遊べます。
やることは高難易度のステージに挑むための、装備集めや仲間加入イベントが中心です。全てやりこむのは大変でダンジョンなどはステージ数も多く、かなりの数の戦闘をこなす必要があり、途中で作業的に感じ飽きてくる面もありました。
ゲームのボリュームは凄まじいものがありますが、このゲームはレベルはすぐに上限を迎えますし、次第にユニット編成も敵を効率よく倒せるよう固定しがちで、全てやりこむほどのモチベーションは保つのは難しかったです。

評価

9 / 10

PSP版の運命の輪をプレイしていると追加キャラや新エピソードもないため、リメイクとしては物足りなさはありました。しかし名作が様々な調整が施されて最新の機種で遊べるようになったのはよかったと思います。
プレイしていて時間が溶けるほど夢中になる感覚はひさしぶりで、SRPG好きなら一度はプレイしておきたい作品です。